大使のおしゃべり談話室


(第4回) 2002年 3月 22日(金)


 カンボディアもだんだん暑くなってきました。 しばらく前から、大使館のあるノロドム大通りの並木には白と薄青色の桜のような花が満開です。 日本も例年より早く桜が咲き始めているようですが、この「プノンペン桜」は結構長持ちして人々の眼を楽しませてくれます。

 プノンペンの街は引き続き活気付いており、数日前初めてカンボディアを訪れた私の娘も「思ったより凄ーい」と言っていました。先日シエムリアップに行く機会がありましたが、アンコール遺跡を訪れる観光客でとても賑わっていました。

 今回の「おしゃべり」は二つの話題を取り上げます。

「草の根無償」って知っていますか

 ここプノンペンの我々日本大使館の仕事のひとつに「草の根無償資金協力」という援助活動があります。 これはODAを使った援助のひとつの形態ですが、通常の日本政府から相手国政府へ提供される援助と異なって、現地の日本大使館から直接NGOや地方の機関ないし地方団体が行う開発活動への支援を行うものなのです。 これらの団体はいわゆる草の根の活動をしていますので、こうした名前が付けられているのです。

 現在カンボディアには、およそ900余りのNGOが活動していますが、この中には、カンボディアのNGOも日本やその他の外国のNGOも含まれています。 日本からは20団体ほどのNGOが活動しており、中には数年から10年ぐらいの実績を持つ団体もあります。各国のNGOの活動は、貧しい人たちを助けるための保健・医療や教育の分野が多いのですが、先月行われた地方選挙の関係で選挙民に選挙の意義を説き投票を勧めるための啓蒙活動をする団体、人権状況の改善、農村開発或いは地雷除去活動に汗を流す団体など、多岐にわたりますが、情熱を持って献身的に働いている人々を見るにつけ、感銘を受けています。

 我々日本大使館はこうした人々の活動を支援するため、各プロジェクトを慎重に審査した上で資金を提供しています。 資金を提供するための契約書に署名したり、これらの団体の活動の現場を訪れたりしますと、皆がとても喜んでくれ感謝してくれます。 提供された物資などには日本の国旗や「日本国民からの贈り物」などの表示が付けられたりしています。 ここに掲載した写真は、先日プノンペン市で起こった火事で焼け出された人々が、市から新しく指定された地区で生活を立て直すために必要な物資を提供する式典に私が参加したときの光景です。被災者は日本とカンボディアの小旗を振って感謝の意を表してくれました。

 カンボディアにこの方式の援助を始めてから丁度10年が経ちました。 効果が高いのでNGO等からの要望も多く「KUSANONE]の名前も定着してきました。 必要性が高く、よく準備されたプロジェクトが多いこともあり、大使館による「草の根資金」の提供活動は、平成13年度は前年度に比して大幅に伸びました。 具体的にどんなプロジェクトがあるかは、この大使館のホームページの「WHAT'S NEW」のところのプレスリリース欄を開いてみてください。 昨年4月から本年3月までの一年間で合計42件のプロジェクトに総額約3億9千万円にのぼる支援をしましたが、昨年度比で件数ベースでは40%増、金額で58%増になります。

 御蔭様で関係者の努力で「草の根」はこのように大幅増になりましたが、来年度からはODAが10%ほど削減されることになりますので、心配しています。 私は昨年1年間でカンボディア全土を見てまわりましたが、30年にわたる内戦や国内抗争により荒れ果てたままの国土や喪失した人材、さらには破壊された制度やシステムを回復するのはまだまだ膨大な支援が必要であることを目の当たりにしました。 我々の援助が役に立っていて喜ばれていることも実感し誇らしく思いました。 カンボディアの政府と国民が正しい方向で復興と改革に取り組んでいる限り、日本として大いに助けてやりたいと思っており、ODAはどうか減らさないで欲しいと願っているものの一人です。


いよいよ迫る「日本カンボディア文化交流祭」


 昨年12月のこの「おしゃべり」欄で予告しましたが、 内戦後プノンペンに日本の大使館が再開して今年は10年目にあたり、我々大使館はこれを記念した文化行事を5月下旬から6月半ばにかけて開く予定で準備をすすめて来ました。 カンボディアに平和が定着し人々の心も落ち着いてきて文化的なものに関心が高まってきたこの機会に、経済協力だけではなく文化面でも日本とカンボディアとの心の絆を深めたいというのが、我々の目標なのです。 過去1年間でも、茶道、漆工芸、狂言などの日本文化の紹介行事を個別に行ってきましたが、いずれも好評で、多くのカンボジア人がまだ見たこともない日本の文化に大きな興味を抱き、日本語で演じた狂言のしぐさにも大いに笑ってくれました。

 今度は、5月24日を皮切りに、日本の地方のお祭りをカンボジア人とともに楽しむ行事、「日本の明治維新や戦後の復興努力」や「アンコール遺跡への日本の修復活動の経験」或いは「平和」等のテーマについての講演会シリーズ、黒澤作品をを含む日本映画祭、それから津軽三味線演奏会などをこの期間に相次いで実施する予定です。 このうち「お祭り」行事には、大分県、広島県、千葉県などから馳せ参じてくださる人々があり、とても嬉しく感謝しております。まとめた形でいくつもの行事を実施するのはこれが初めてですが、このため、最近当地の在留邦人の強力な有志の方々がこの催しの趣旨に賛同してくれ、「実行委員会」を結成し準備に取り掛かっています。

 「お祭り」は太鼓演奏や盆踊り的なものになると思います。 カンボジア人もお祭り好きですから一緒に踊りに参加してもらえれば盛り上がるのではないかと考え、市長と相談して目抜きの広場を使わしてもらうことを検討中です。 現時点では正確な日時は決まっていませんが、多分5月25日(土)と6月8日(土)の2回に分けて行われることになる見込みです。 この期間にプノンペンを訪れる日本の皆様にはこのお祭りを見てどうぞ参加してください。 まだ細部や日程は決まっていませんが、決まった段階で大使館のホームページでもお知らせすることになると思います。

4月はこの国では一番暑い月ですが、汗をかきかき皆で手作りの祭典の準備を進めていきます。

では次回まで。



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