医療・衛生情報


 1.概況

 カンボディアは熱帯モンスーン気候に位置し、年間平均気温はプノンペンで27〜28℃です。季節は大きく6〜10月の雨期と11〜5月の乾期に分かれ、3〜5月がもっとも暑く日中の気温は40℃に達します。
 インフラ整備が遅れており、ゴミ処理も不十分なため町は決して清潔とはいえません。また蚊やゴキブリ、ネズミといった衛生害虫も多く、これらが媒介する病気も珍しくありません。高温多湿なこの国では食べ物も悪くなりやすく、食中毒などの消化器感染症はもっとも注意すべきものの一つです。
 医療機関の整備もこれからで、日本人の基準からみて満足できる病院はありません。軽い病気なら外国人向けのクリニックがいくつかあり、海外旅行傷害保険があればキャッシュレスで受診できます。しかし入院を必要とする場合には医療施設の整った近隣諸国(バンコク、シンガポールなど)に行くことをおすすめします。

 

 2.おもな病気

 下痢を主な症状とする消化器感染症は、旅行者、長期滞在者を問わずもっともかかりやすい病気です。また蚊が媒介する病気としてはマラリア、デング熱、日本脳炎があります。性感染症(STD)も多くみられます。


<アメーバ赤痢、細菌性赤痢>
 前者は赤痢アメーバという原虫が、後者は赤痢菌という細菌が食べ物や水を介して経口的に感染して起こります。腹痛、下痢、血便、発熱を主な症状としますが、軽い下痢程度で終わる場合も珍しくありません。またどちらも長く腸管内に留まることがあります。

<腸チフス>
 チフス菌が食べ物や水などを介して経口的に感染して起こります。腹痛などの症状を伴うことが多いのですが、主な症状は発熱です。熱帯で高熱が続いたときには考えなければいけない病気の一つです。

<ウイルス肝炎>
ウイルス肝炎のうちA型、E型は経口的に感染し、B型、C型は血液や体液を介して感染します。カンボディアではE型肝炎はほとんどみられませんが、B型、C型肝炎ウイルスは両方あわせると10%の人が保有しているといわれます。これらのウイルスによる急性肝炎にかかると、発熱や体のだるさが出現し黄疸がでます。黄疸では最初尿の色が赤っぽくなるので、血尿と間違えることがあります。腹部症状を伴うこともあります。なお、B型肝炎は性行為でも感染します(C型も感染することがある)。A型肝炎、B型肝炎は有効な予防接種があるので、特に長期滞在者は接種しておくことをおすすめします。

<デング熱>
ネッタイシマカという蚊がウイルスを媒介して感染します。関節の痛みや頭痛を伴う高熱が5日くらい続き、その後発疹がみられます。熱が下がってもしばらく体のだるさがとれないことが多いようです。治療薬はありません。重症のデング出血熱になったら、入院して適切な治療を受けないと命に関わることがあります。なおネッタイシマカは主に昼間吸血行動をとります。カンボディアでは雨期、特に8月頃が発生のピークとなります。

最新医療情報 デング熱の最新情報(2001年5月)についてはこちらをご覧ください。

<マラリア>
ハマダラカという蚊がマラリア原虫を媒介して感染します。現在プノンペンからトンレ・サップ川流域、アンコール・ワットのあるシアム・リアップでは感染する危険性はほとんどありません。バッタンバン、シハヌークビル、カンポットの市街地でもほとんどみられませんが、そのほかの地域では頻繁にみられます。ほとんどが熱帯熱マラリアで、特にタイとの国境地帯では薬の効きにくい耐性マラリアが多い事が知られています。ハマダラカは夜間吸血行動をとるので、マラリア流行地では夜間の外出をさけ、窓を閉めて寝るなどの蚊に刺されない工夫が必要です。予防内服するならメフロキンかドキシサイクリンですが、観光目的の旅行者のほとんどはプノンペンとシアム・リアップ以外に行くことはないでしょうから不要です。また現在カンボディア国内で売られているメフロキンの半分以上は有効成分の含まれていない偽薬といわれています。国立病院にも偽薬が広く出回っていますので、治療を受ける際には薬の入手経路がしっかりした医療機関で治療を受けるか、バンコクで治療を受けるようにして下さい。

<AIDS>
カンボディアでは急速に広がっており、政府がもっとも力を入れている病気です。精液や血液を介してHIVが感染して起こる病気ですが、カンボディアでは主に性行為によって広がっています。人口の4〜5%がHIV陽性といわれ、売春婦の陽性率は50%以上にものぼります。予防方法は明らかですので、節度ある行動をとるようにしてください。

 

 3.健康上心掛ける事

 水道水を含む生水を飲まない、加熱したものを長時間放置せずさめないうちに食べるといった基本的なことは必ず守ってください。特に旅行者は長時間のフライトや過密なスケジュールで疲労がたまり、ちょっとしたことで下痢を起こしやすいので気をつけてください。
 暑いので汗も多くなります。特に遺跡観光では日陰も少なく、石段の上り下りが多いため脱水になりがちです。また脱水とまではいかなくとも発汗により血液が濃縮し、高齢者では心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。ミネラルウォーターなどによる十分な水分補給に努めてください。
 エアコンの使いすぎはかえって疲労の元になることがあります。特に夜寝るときのエアコンのかけすぎには注意してください。現地の人は昼休みには水浴びをしてから日陰で昼寝をします。水浴びは汗の多い体の清潔を保ち、昼寝は疲れを軽くします。郷にいれば郷に従え、現地の人の知恵を見習いましょう。
 長期滞在の方は治安の関係上自由に出歩くのがままならず、ストレスがたまりやすくなります。休日には運動したりして少しでもリラックスするようにしてください。また急病と思われる病気も前もって防げる場合があります。1年に1回は人間ドック並の健康診断を受け、日頃から健康管理に心掛けてください。

 

 4.病気になった場合(病院等)

 邦人が安心してかかれる医療機関は限られています。また入院が必要な場合は国外へでる必要があります。医療費も高額になりがちなので、是非とも海外旅行傷害保険に加入してください。また長期滞在者は、重い病気や大きなけがの時のために緊急移送も考慮して保険に加入してください。
 救急車は電話番号119で、日本と同じです。料金は原則として無料ですが、外国人の場合心付けを要求されることがあります。これは運営費の一部になります。


 〇プノンペン

  International SOS
    住所:No.161, Street 51, Sang-Kat Boeung Peng, Khon Doun Penh,
       Phnom Penh
    電話:023-216911
    概要:原則的にメンバーシップ制のため、メンバー以外はビジター料
       金が必要です。日本人スタッフ常駐。歯科もあります。

  Raffles Medical Center
    住所:Hotel Sofitel Cambodiana, Office No.7, Ground Floor
    電話:023-360768
    概要:ホテルの地階にあるため場所がわかりやすい。日本人スタッフ
       常駐。

  European Dental Clinic
    住所:195A Norodom Boulevard, Phnom Penh
    電話:023-362656
    概要:フランス人歯科医のクリニックです。予約制です。



 〇シアム・リアップ

 アンコール・ワット遺跡のあるシアム・リアップには、邦人が安心して受診できるような医療機関はありませんが、最近プノンペンにあるInternational SOSが医師を常駐させるようになりました。ただし診療所はもっておらず、連絡するとホテルなど  に往診に来てくれます。連絡先は上記プノンペンのクリニックです。




ホームページに戻る